鈴木のりたけさんの絵本の特徴ってまず独特なグラフィックですよね!
あのリアルな描写とコミカルな描写が共存している感じのグラフィック。
現代的な絵本だな~と感じます。
鈴木さんはもともとグラフィックデザイナーのお仕事もされていたそうで、絵本の随所に細かい表現がされています。
鈴木さんの絵本を反芻して読み込むと、芸当の細かさに「ほぇ~!」と皆さんもなるはず。
毎回新たな発見があって飽きないですよ!
そして、あのなんとも言えない世界観。
皆さんも鈴木のりたけワールドの沼へハマっちゃってください。
とんでもない

作: 鈴木 のりたけ
「さいはいいなあ。よろいのようなりっぱなかわがあって。」とサイをうらやむ男の子。
すると、サイは、
「とんでもない。」
まず重い→力が必要→たくさん食べなきゃならない→よろいのために食べている→ぼくのためによろいがあるのか、よろいのためにぼくがいるのかわからない
と、ぽろぽろ愚痴をこぼします。
そして、うさぎみたいに身軽にぴょんぴょん跳ね回ってみたいとうさぎをうらやみます。
すると、うさぎは、
「とんでもない。」
うさぎもまた愚痴をこぼしながら他の動物をうらやみます。
こんな感じで、動物たちのないものねだりリレーが次々と続きます。
人間もこうやってないものねだりで人をうらやむことがあるけど、
その人もその人で悩みがあるわけで…。
物事を俯瞰的に見ることは大事なんだなぁ ごりを
なぁんて思った次第でございます。
そして、この絵本はいかに「とんでもない。」に感情を込めるかで、子供の反応が変わってきます。
魂込めて、「とおぉんでもなぁあい!!!」とお読みください。
なんでもない

作: 鈴木 のりたけ
「カラスってなんだかつまらなそう。黒くてみんな同じ色なんだもん」とカラスを哀れむ女の子。
すると、カラスは、
「なんでもない。夜の闇の中ではみんな真っ黒になるじゃない。」と平気顔。
むしろ、
「町から町へ飛び回る私は大忙し。のそっと地面を這いまわるのろまなカメじゃなくてよかったわ。」とカメを哀れみます。
すると、カメは、
「なんでもない。急いでやらなきゃいけないことなんて俺には一つもない。」と平気顔。
むしろ、
「毎日ぼくはひなたぼっこ。太陽の届かない土の中にいるモグラは可哀そうだよね。」とモグラを哀れみます。
他にもいろんな動物が登場しますが、みんな自信たっぷり。
他の動物を哀れむほどの余裕。鬼強メンタル!
くぅ~っ。私もこれぐらいの余裕がほしい!
「人にあれこれ言われても気にしない。」
動物たちの「なぁあんでもないっ!」精神、我々も見習っていきましょー!!!
たべもんどう

作: 鈴木 のりたけ
この絵本、クイズあり、だじゃれあり、回文あり、早口言葉ありの盛りだくさん絵本です。
「たべもんどう」って「食べ問答」ってことだと思うんですけど、クイズに関しては、大人でもちょっと考えんじゃうような問題もあったりして、読み応え抜群です。
はんふらこし
とうばーい
えびもろぐ
これを聞いただけでは、何の呪文じゃ!となりますが、
絵本を読むと、「ほほ~ん。なるほどねぇ~。笑」ってなります。
表紙のじゃがいものように、シュールで不気味な食材たちのイラストがまたいい味出してます。
子供と大盛り上がりできる1冊です。